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私とアラビア書道

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私とアラビア書道

には子供のときからアラビア書道への興味がありました。

私の家族はイスラームに強い関心を持ち、父親はイスラーム科教師で、いろいろな学校で教えてきました。日本では確か、宗教のことを学校で教える科目はないと聞きましたが、シリアでは、自分で選んでイスラームかキリスト教を学べます。そのうちに私はクルアーン(コーラン)が好きになりました。小学校は普通科でしたが、中学校はコスルフェイアというイスラーム学専門の中学校に行っていました。公立

学校と同じ科目の勉強に加え、クルアーンの解釈や預言者様の話など、イスラームのことをさらに詳しく学べます。その学校にはとても良い思い出があります。今まで受けた教育の中で一番良かったと思うほどです。この学校で美術の授業があり、アラビア書道を学びました。ムハンマド・アミーン・アブドッラティーフ先生が教えてくれました。先生の専門は法律でしたが、クルアーンを全部暗記していて、書道が好きで学校で教えてくれていました。実はほとんどのアラビア書道の先生は職業的な書道家ではなく、何かの仕事をやりながら書道をやっている人ばかりです。、書道はお金にならないからですが、皆好きでやっています。先生のおかげで、クルアーンがさらに好きになりました。アラビア書道は、神様の言葉を書く芸術だと学んできました。次の作品は中学生の時に書きました。書いてある文字は「قلبي ينادي يا رب」日本語では「私の心は神様を呼んでいる」という意味です。この作品は歌を聞いてすっと心に入ってきて、すぐに歌詞を書きました。普通は作品が完成するまでに何回も文字を組み合わせてみるのですが、この作品は一回でできました

 

中学校が終わってからは、書道家である兄も教えてくれました。そして私は姉と沢山の作品を作りました。私が書き、彼女は飾ったり、ガラスに写したりして作品を完成させてくれ、楽しい時間を過ごしました。家にも飾っていました。やはりゆっくり書を書くと、書いている言葉の意味を深く考えることにもなり、心も綺麗になる感覚を味わえます。

その後大学へ入学してから、日本のことが好きになって、日本語を勉強し始めました。その時シリアに留学していた日本人と友達になって、プレゼントとして名前を書いてあげました。また、交流会として日本に招待された時にシリアと日本の関係がよくなるようにと、次の作品を作りました。書いていることは「أهلا وسهلا سوريا اليابان」日本語で「ようこそ、シリア、日本」ようこそは右からと左からと二つ書いてあります。シリアに来てくれた日本人にようこそ、また日本にきてくれたシリア人にもようこそ。間に心のマークがあって、中にシリア、日本と書いてあります お互いに愛する気持ちがありますように。下の方は「ターリク」と書いてあります

 

これは私の名前です。この書き方は長い間考えて書きました。実はこの書き方では日本語で左から読むと日本語の「ターリク」になり、右からアラビア語で読むと「طارق」というアラビア語のターリクになります。実は、アラビア語で読んでも、日本語で読んでも次の絵のように「ターリク」になるのです。

 

日本に留学生として来日し、東京工業大学で修士、博士の学位を取りました。その時に日本人は書道が好きですが、アラビア書道のことはあまり知らないと感じました。アラビア書道では他の書道と同じように文字をきれいに書くのは大事ですが、さらに文字と文字をきれいに繋いで綺麗な言葉を書き、また言葉と言葉をつないで綺麗な絵を作ります。作品は書かれた文字というより絵として意味を伝えてくれます。文字を読むのではなく、目で見て楽しみます。
私の本業は書道ではなく、人工知能を含んだソフト開発の会社を経営しながらアラビア書道を教えています。現在は東京ジャーミーでアラビア書道を教えています。またいろいろなところで教えたことがあります。慶應義塾大学や、日本イスラミックセンターや御徒町マスジドという礼拝所などで教えてきました。本来は竹で書きますが、教えるために黒板に書きました。次の作品は「كل عام وأنتم بخير」という言葉が書いてあります。意味は毎年元気でありますように、です。

 

また、アラビア書道についてのスピーチや体験ワークショップなども数多く実施してきました。日本人は竹でアラビア書道を書くことにいつも驚きます。また名前などを書いてあげると、絵のように見えるので感動してくれます。アラビア書道について話すとき、イスラームの芸術として紹介します。イスラームという宗教では芸術はだめだと思っている人がいるかもしれませんが、本当はそうではありません。イスラームには信仰行為のことだけではなく、人間に必要なものが全て含まれています。その中には芸術も含まれているのです。また、新聞で記事を書いたり、NHKのラジオで放送したりしたこともあり、なんとかその思いを伝えられるように活動しています。アラブ大使夫人の会からもご招待いただき、文仁親王妃紀子様にアラビア書道を紹介してそのお名前の作品も作成しました。その作品は、トグラーという王様の名前で使われていたスタイルで書きました。また憲仁親王妃久子様にも、名前を丸の形で書いて差し上げました。

イスラーム文化と日本文化が繋がっていくように祈っています。2019年12月、生徒さんと一緒にアラビア書道の展示会を東京ジャーミーで開催しました。大勢のお客様が見にきてくださり、大変よい機会となりました。その時、30点ほどの作品を作って疲労困憊しましたが、日本人がイスラームの芸術を感じてくれることを願って作成しました。

今後アラビア書道の奥深さが伝わるように、イラクやトルコ、イランの先生方と連携して、有名な先生の作品や本などを日本に持ってきて広めたいです。また和紙や日本の道具を使って、日本の書道とアラビア書道を融合させた作品を作りたいとも思っています。それを作るためにも、日本人の書道家と協力したいです。この度、アラビア書道についてのホームページを作成しました。これから少しずつ更新していこうと思っています。www.IslamicArtInstitute.com  日本の方々が、アラビア書道について学んだり、本や道具、作品などを買ったりできるようにしたいです 術を通して、たとえ文化が違っても、世界中の人が人間同士、繋がっていけるようないい関係を作りたいと願っています。文化が違うのは決して悪いことではなく、むしろ絵のように様々な色があってこそ、より綺麗で豊かな表現ができるものではないでしょうか。

ターリク・ファタヤーニ(工学博士)

SMA GROUP合同会社代表